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「気候危機」に真っ向から立ち向かう英国

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【COP26について】

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、英国が議長国を務める第26回気候変動枠組条約締

約国会議が2020年11月から、2021年11月1日〜12日に変更となりました。

 

COP26について、「そもそもCOP26とは何か」という質問や、英国が注力する4つの目標、COP

に関するQ&Aなど、盛りだくさんの内容のPDFをご用意しております。ウェブ上で参照、および

ダウンロードいただけます。

 

COP26 Explained:英語版日本語版

 

また、COP26に関する最新情報はCOP26特設ウェブサイト(英語)をご参照ください。こちらで

随時最新の情報を更新しております。

 

【直近の政策について】

2020年から2021年にかけて、英国は気候変動対策として様々な政策を発表しております。以

下に、主な政策をご紹介します:

 

  • グリーン産業革命を起こすための10項目計画 (10 point plan)を発表:リンク
  • 2030年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売禁止:リンク
  • 2030年までに1990年比68%、2035年には78%の温室効果ガス削減の目標を発表:リンク
  • 2024年9月末までに石炭火力発電より撤退、国外の化石燃料発電事業に対する直接の公的支援を停止:リンク

 

英国大使館では気候変動、COP26に関する情報を配信中!ぜひTwitterで@UKinJapanをフォローお願い致します。

 

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※注:この記事は2020年2月執筆されたものです。

気候変動の深刻な影響

 

人類の活動に伴う化石燃料の大量消費などにより、二酸化炭素など温室効果ガスの排出が増し、これが原因となり地球の平均気温が上昇するなど、地球温暖化の影響が様々な形で顕在化しています。この分野の専門研究機構、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の2014年発表の報告書によると、各国がこのまま温暖化に対してなにも手を打たなかった場合、今世紀末までに約4度の気温上昇が見込まれ、その結果、取返しの付かない深刻な問題が世界各地にもたらされると予測しています。

実際に、様々な形で気候変動の影響が出ています。異常気象、大規模な洪水、干ばつ——。世界の平均気温は産業革命前より1度ほど上昇しており、大規模な氷床の溶解による海面上昇、また水環境や生態系、食料、健康への悪影響など、人類の生活を脅かしています。

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では、気候変動を止めるには何をしたらいいのでしょうか。その解決策の一つとして、「温室効果ガスの排出を減らしていく」ことが挙げられます。

 

 

国際的な気候変動対策

 

気候変動は地球規模の問題で、一カ国のみの対策 で解決できる問題ではなく、地球上の全ての国が協力して取り組む必要があります。

例えば、国際条約「国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)」に加盟している国々は、毎年「締約国会議(COP)」と呼ばれる気候変動の国際会議に参加し、温暖化対策について交渉を行っています。1997年のCOP3では37の先進国に対し、2008年から2012年の間に温室効果ガスの排出量を1990年時点と比べて平均5%削減を義務付けた「京都議定書」が採択されました。結果的にこの取り組みは成功し、全体で10%以上の削減を実現。その後、2015年には、先進国のみならず、途上国を含む世界全ての国に温暖化対策を義務付ける歴史的な合意となった「パリ協定」が採択されています。このパリ協定では世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ2度未満、また努力目標として、気温上昇を1.5度に抑制するという、さらに前進した目標が示されました。この目標を達成するためには、21世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることが必要となります。

 

 

世界をリードする英国の取り組み

 

英国では、気候変動は国の経済と安全保障を脅かす重要な課題と位置づけ、世界に先駆けて対策を行ってきました。その原動力となったのが、2008年の気候変動法(Climate Change Act)です。温室効果ガスの排出を2050年に少なくとも80%削減する、長期の野心的な目標を設定しました。このような法律を定めたのは英国が世界で初めてでした。この法律が出来てから10年以上が経ち、今ではフィンランド、スウェーデン、デンマークなど他の国でも、英国と同じような気候変動の法律を採択しています。

 

また、カーボンバジェット呼ばれる温室効果ガスの排出量を削減するための仕組みも作りました。中期的には5年ごとの目標、長期的には2050年までの目標を設定し、温室効果ガスの排出量を最終的には80%まで削減という内容です。これは、投資家やその他のステークホルダーに対しても、国の方向性を示す取り組みとなっています。

 

さらに、気候変動法のもう一つの柱として、温室効果ガスの削減目標に対する英国の進展状況と、同国の気候変動への取り組みに関するチェック機能を持つ「気候変動委員会(CCC)」も設立。政府から独立した機関である気候変動委員会は、毎年、英国議会に対し対策の進捗状況の報告書を提出し、政府はこの報告書に対する返答を議会に提出する義務があります。

 

このほか、英国は昨年 6月に気候変動法をさらに強化しています。前述の通り2008年の施行時には、温室効果ガス排出80%削減たっだものを、2050年までに実質ゼロにする目標に変更。これを数か月という短い時間で、法制化までこぎつけています。この強化の背景には大きく分けて3つの要因があります。

まずは、科学的根拠が揃っていたことです。昨年10月にIPCCが発表した1.5度特別報告書で、気温上昇の影響が明確に示されていました。

二つ目は、上述の気候変動委員会からの提言があったことです。今年5月に同委員会から、2050年までのなるべく早い段階で実質ゼロ目標を法制化するよう発議がありました。

最後に、国民の関心がこれまでになく高まったことです。英国でも若い世代を中心に、気候変動への対策を強化するよう各地でデモが勃発し、政府にプレッシャーを与えました。ロンドンの夕刊紙イブニング・スタンダードが2019年8月に掲載した記事によると、気候危機について不安を抱いているイギリス国民は全体の85%。こうした背景から、英国政府も、国民の不安を取り除くための政策を精力的に打ち出していくことになりました。

 

「クリーン成長戦略」(Clean Growth Strategy)

 

2017年にはビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が 「クリーン成長戦略」(Clean Growth Strategy)という国家目標も発表しています。「クリーン成長」とは、「温室効果ガスの排出を削減しながら、英国の経済成長を実現すること」を意味します。実際に英国では、下記のグラフからも明らかなように、この30年間で42%もの温室効果ガス削減と、67%のGDPの増大を同時に達成しています。これはG7諸国のなかで最も大きな成功であり、私たちが気候変動解決に向けた取り組みで世界をリードできることを裏付ける結果となっています。

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「クリーン成長戦略」では、産業の低炭素化を可能にするイノベーションこそが経済成長のカギだと捉えられています。その一つが洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーです。政府はこれらの民間事業者に対し積極的な支援を行っており、とりわけ風力発電の設備は地方に設置されることが多いことから、地域経済の振興としても期待されているところです。

 

また、英国は、気候変動を止めるための具体的な施策においても積極的な取り組みを行なっています。例えば、CCSなどの対策なしの石炭火力発電所(英語:unabated coal power)を2025年までに廃止し、また、運輸部門では2040年までにガソリン車やディーゼル車の新車の販売を停止することを決めています。

 

 

脱炭素社会に向け、COP26を開催

 

このように、国をあげた戦略を世界に先駆けて進める英国は、2020年、イタリアとともに「気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」をグラスゴーで主催します。このCOP26に向け、現在、英国は世界各国からの交渉団、産業界、専門家やNGOの皆さまを迎えるべく、着々と準備を進めています。

 

特に今年は、採択から5年が経ったパリ協定の適用を開始する節目の年です。前回のCOP25では合意が得られなかった「各国の2030年の削減目標の引き上げ(野心の引き上げ)」や「パリ協定6条の市場メカニズム」に関して、パリ協定の目標を達成するためにも今回は重要なCOPとなります。世界の取り組みは地球の平均気温の上昇を2度未満に留めるには対策はまだ不十分。今年の重要な視点は、「いかにして各国の気候変動の目標を高めていくか」、そして「課題解決に向け必要不可欠な存在となる、自治体や産業界、NGOなど政府以外の様々な主体とどのようにして協力していくのか」となります。


英国は「クリーンな成長」、「金融」、「自然・生物多様性」、「適応・レジリアンス」の4つのテーマを軸にCOP26の議論を展開する予定です。人類全体の課題である気候変動に対し、精力的にリーダーシップを発揮していきます。

 

ライター:大越裕


 

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